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トコジラミは吸血害虫で別名ナンキンムシやベッドバグと呼びます。人が吸血されると非常に強い痒みを伴います。
【トコジラミの生態的特徴】
・トコジラミは卵から孵化すると幼虫から成虫に至る全てのステージで吸血し血液を栄養とします。
・寿命は1年ほどで、その間最大500程度の産卵をします。
・夜行性と言われていますが、日中でも暗所では普通に活動します。
・トコジラミはカメムシの仲間で営巣場所では独特な臭気があります。
・吸血後、栄養分を体に取り込み水分を排泄します。それを血糞と呼び跡が残ります。

【トコジラミ】

トコジラミ成虫

トコジラミ幼虫

トコジラミ卵
トコジラミの成虫は5~7mm程度に成長します。不完全変態で幼虫、成虫共に形態に大きな差異はありません。成虫は赤褐色をしていて目に付きますが幼虫は齢が若いほど色素が薄く小さいため肉眼では確認しづらくなります。 空腹時はとても扁平で隙間に入り込むのに適しています。


現在、国内で頻発するトコジラミの被害はほぼ、この種でアメリカやオーストラリアで大発生しているものの一部は観光や国外の移動により持ち込まれ既に定着しています。ピレスロイド系の薬剤に抵抗性を持つ個体群が多く難防除種になっています。成虫は全身褐色で胸部側縁は複眼後端にかかります。
【ネッタイトコジラミ】

ネッタイトコジラミ成虫

胸部背面側縁

ネッタイトコジラミ成虫

ネッタイトコジラミ2齢幼虫

ネッタイトコジラミ4齢幼虫

ネッタイトコジラミ脱皮殻

台湾などの温暖な地域に生息する種で生態的な特徴はトコジラミと同様です。本種はピレスロイド系殺虫剤への抵抗性はなく国内では南西諸島に多く分布し人への被害よりコウモリ等の獣類への寄生が多くあります。外見的なトコジラミとの区別は難しく胸部側縁が複眼後端にかからないのが特徴の一つです。

トコジラミに刺咬され痒みが生じるのは唾液を宿主の体内に注入し、この中に含まれる物質がアレルギー反応として痒みとなります。 刺し痕は1ヶ所ですが吸血時に何度か場所を変えることがあり複数個所腫れることがあります。痒みの持続性や刺し痕が消えるのは人それぞれで1~2週間程度です。
成虫吸血中 成虫飽血 幼虫飽血


トコジラミは暗所、閉所、暖所を好みますが基本的に人が長時間居座る場所の近くに潜伏します。 布団やベッド、ソファー、寝室のカーテンや和室の畳の隙間、絨毯の裏、雑誌などあらゆる場所に営巣します。 営巣場所にはたくさんの血糞と産卵がされているため容易に発見ができます。



トコジラミは成虫になるまでに5回脱皮をします。寿命は約1年ですが生息条件により成長の速度は変化します。 通常、卵が孵化するのに1週間、幼虫期間は1~3ヶ月になります。

トコジラミ成虫の雌は交尾をすると約5日で産卵を開始します。1日に5~6個産み落とし生涯300~500個程度産卵します。卵は1週間程度で孵化するため繁殖力はとても旺盛です。 1人の旅行者に付着したトコジラミから3ヶ月後には数十匹増殖し1年後には数え切れない程の数になってしまいます。

【スーパーナンキンムシ】
現在、日本に定着しているトコジラミのほとんどがアメリカや東南アジアから移入してきたものだと考えられています。特にアメリカではトコジラミが猛威を振るい大きな社会問題になっています。 そこでアメリカでは駆除をする際ピレスロイド剤を多用することによりトコジラミがピレスロイド剤に対して強い抵抗性を身に付けてしまいました。 ピレスロイド剤が効かないトコジラミ(南京虫)をスーパーナンキンムシと呼びます。
【トコジラミの食性】
吸血害虫には蚊やノミなどが居ます。蚊の場合、雌の成虫、ノミの場合は成虫しか吸血しません。しかしトコジラミの場合は卵から孵化すると成虫・幼虫、雌雄共に生涯吸血に頼ります。 飢餓に強く飼育下では無吸血状態で18ヶ月も生存した記録もあります。
【伝染病の媒介】
トコジラミはカメムシに近縁な昆虫でオオサシガメ類などはシャーガス病を媒介するものも存在しますが現在トコジラミが媒介する伝染病は確認されていません。刺されるとただひたすら痒いのみです。
【トコジラミに対する様々な駆除方法】
トコジラミの駆除方法は様々で寝室の数か所にドライアイスを設置して誘引する方法があります。これはトコジラミが二酸化炭素に誘引される性質を利用したものですが、確かに刺される数は減りますが人自身も自ら二酸化炭素を放出しているので刺されてしまい根本的な解決にはなりません。 また、トコジラミトラップの設置はトコジラミの生息調査に使用するもので全てのトコジラミがトラップに掛かるわけではありません。エアベッドの上で寝るとトコジラミが滑って登れないため刺されなくなるとも言いますが天井から落ちて来ることもあれば、一時的に刺されないようになるだけで解決にはなりません。 現在では殺虫剤(有機リン剤)と熱処理で駆除するほかに方法はありません。

【トコジラミによる吸血】
【トコジラミの歩行速度】
【トコジラミ幼虫の隠れ家】
【飽血状態のトコジラミ】

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