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トフシアリ属 【ヒアリ】 世界各地に移入分布し毒針を持つトフシアリ属の一種で国内では南西諸島に帰化していますが本州や九州でもアジアからのコンテナに紛れて局地的に発見されています。世界の侵略的外来種ワースト100選定種で特定外来生物にも指定されています。アルカロイド系の毒を持ち刺されるとアナフィラキシーショックを起こすことがあり危険です。食性は雑食で多雌コロニーを形成するため容易に増殖します。山のような蟻塚を作るのも特徴です。亜熱帯に生息するため東北地方などの気温が低くなる地域では帰化が難しいと思われます。
ケアリ亜属 【トビイロケアリ】 駆除依頼が一番多い種がこのトビイロケアリです。本種は家屋内の壁中や床下に営巣することが有ります。多産なのでコロニーが発達すると数万匹に達します。単雌でコロニーを作りますがアメイロケアリやクロクサアリ、クサアリモドキに一時的社会寄生されることがわかっています。全体的に黒~茶褐色をしていて結婚飛行は7月~8月に行うことが多いです。草地から林内にもっとも普通に見られます。
日本全国に分布するとは言え、分布域はかなり局所的です。一般的なトビイロケアリと比べると一回り小さく体長は2~2.5mm程度です。女王の他では十分に成長したコロニーでなければトビイロケアリとの区別は困難です。古くから寒冷地や標高の高い場所に生息する傾向にありますが近年は市街地でも稀に散見し住宅への侵入も少数確認されています。
トビイロケアリよりは生息数は少ないですが日本全国に分布しています。家屋に侵入されても、そのほとんどがトビイロケアリとして駆除されています。営巣は落葉樹林内の倒木や木株中の根元などの腐朽部に多く結婚飛行は8月~9月に行われます。女王蟻はトビイロケアリより一回り大きいです。
日本全国に分布していますが名の由来の通り河原や海岸などの乾燥した砂質の草地に営巣することが多いです。地中営巣性でコロニーが巨大になると数十万匹に達します。結婚飛行の期間が長く7月~10月になります。トビイロケアリに似ていますが体色はやや明るいです。
体色が黄褐色をしている特徴的なアリです。国内では北海道及び北日本に多く中国地方や九州などの南部には少ないです。地域によって平地から山地に見られ営巣は草地から林縁に多く土中営巣性です。結婚飛行は8月~9月で単雌、多雌でコロニーを形成します。
文字通り体色が飴色をしています。トビイロケアリ、ハヤシケアリに一時的社会寄生をすることが知られています。ほぼ日本全国に分布していて林縁から林内に掛けて生息し立木の根元に営巣します。稀に木造家屋の腐朽した土台や浴室土盛りに営巣します。結婚飛行は7月~8月に行われます。女王蟻は黒褐色をしています。
【ヒゲナガアメイロケアリ】 ほぼ日本全国に分布し体長、体色はアメイロケアリと同様です。働き蟻では区別をするのは困難です。同定をする際は女王の触覚柄節がアメイロケアリよりも長く平坦で立毛を有することで区別できます。生態的にも営巣は切り株の下、稀に木造家屋の浴室土盛りに営巣します。またトビイロケアリやハヤシケアリに一時的社会寄生をすることが知られています。
クサアリ亜属 【クロクサアリ】 本種はアメイロケアリに一時的社会寄生をすることが知られています。ほぼ日本全国に分布していて樹木の根元に営巣することが多いです。樹木のアブラムシに集まり甘露を定常的な餌としています。7月~8月に結婚飛行を行います。
強い光沢のある黒色のアリでトビイロケアリに一時的社会寄生を行うことが知られています。分布はほぼ日本全国です。巣は非常に大きくなりクロクサアリ同様アブラムシから甘露を定常的な餌としています。7月~8月に結婚飛行を行います。
【クロヤマアリ】 本種は日本全土に分布し人が生活する上で一番目にする蟻だと思います。光沢が鈍く黒褐色をしています。家屋には侵入せず低地や山地の明るい場所に普通に徘徊し、地中に営巣するため侵入口が容易に発見できます。結婚飛行は関東地方で6月~7月上旬に行われます。アカヤマアリやサムライアリの寄り主としても知られています。
【クロオオアリ】 オオアリの中では最も一般的な種です。体色は黒色で日本全国に分布しています。開けた場所に営巣し巣の入り口は地表に作る地中営巣性です。単雌性でコロニーは1000~2000匹になります。結婚飛行は5月~6月に行われます。
頭部は黒色、胸部と腹柄節が赤色、腹部は黒色の体色をしています。クロオオアリ同様の大きさで単雌性で林内の朽木などに営巣します。コロニーは1000匹からなり結婚飛行は5月~8月に行われます。平地での駆除依頼は無く山林の中の建物に侵入されるケースが多いです。
中国地方、四国地方の一部と九州に局所的に分布しています。女王はムネアカオオアリとほぼ一緒で同定は困難です。判別する際、働き蟻の胸部背板後縁を赤色が超えないことで容易に判断できます。現在独立種として記載されますがムネアカオオアリとは色の違い以外に形態的な差が無く再検討の余地が有ります。
ミカドオオアリ亜属 【ミカドオオアリ】 体色はクロオオアリと比べて多少明褐色を帯びています。枯れ竹や朽木に営巣しコロニーは300匹に満たないサテライトコロニーが分散しています。結婚飛行は5月~6月で他種に比べて湿度が高いのを嫌います。夜行性ですが日の光が届かない暗い林内では日中でも活動します。
【ヨツボシオオアリ】 体色は黒色で腹部に二対の単黄色の円紋があります。樹上営巣性で枯枝や幹の腐朽部、木の割れ目、樹皮下に営巣します。単雌性で5月~6月に結婚飛行が行われます。山間部の木造家屋の洗面室より大量の働き蟻の侵入が事例として1つ有りますが本来、家屋侵入種として扱うまでもない種と思われます。
【ウメマツオオアリ】 体色は黒褐色で前胸は褐色掛かることが多いです。巣は地上の枯枝や樹上、篠竹に見られます。しばしば多雌コロニーが観察されますが成熟コロニーは単雌性の物が多いので巣が発達する際に淘汰が行われてる可能性があります。コロニーは100~500匹程度になります。結婚飛行は8月に行われます。
【アメイロアリ】
【アシナガキアリ】 体色は全体的に黄褐色をしています。触覚や脚が他種に比べて極めて長く胸部も細身をしています。本来は東南アジアが生息地で人為的に国内に持ち込まれたと思われます。温暖な地域に生息し石下や土中に営巣し林縁や草地、炉辺に普通に見られます。多雌コロニーを形成するため巣が分散し家屋に侵入されるととても難防除になります。
【アワテコヌカアリ】
【ヒラフシアリ】 あまり地表を歩く印象が無いヒラフシアリは北海道から九州まで広く分布しています。似かよった種類の多い中、ヒラフシアリはカタアリ亜科に属し指で押さえると硬い印象を受けます。梅雨の時期に地表を歩くのを見掛けますが森林内の枯枝の中に営巣しコロニーは比較的少数で形成されます。9月下旬~10月中旬に結婚飛行を行い室内に飛来することがあります。
【オオズアリ】 名の由来の通り、兵蟻の頭部は非常に大きく発達しています。兵蟻は女王と同様の巨体を持ちますが見た目とは真逆で非常に憶病で日頃は餌の解体をします。分布は関東以南になりますが近年、東京の飲食店内にかなり見られるようになってきました。裸地、林内に大コロニーを形成します。体色は黒褐色をしていて働き蟻は非常に細身です。
オオズアリ同様に兵蟻の頭部が巨大化しますが全体的に一回り小型です。体色は赤褐色をしています。分布は日本全国で北日本では平地の土中などに営巣し南日本では林内の石下や朽木などに営巣されます。やはり兵蟻は性格的に憶病で餌の解体や餌場、巣内の防衛の役割をしています。
【ムネボソアリ】
【オオシワアリ】 シワアリ属の中では大きく体色は赤褐色をしています。温暖な地域に分布しますが関東地方など沿岸に沿っても生息しています。土中や石下、倒木などに営巣しますが比較的乾燥した場所を好む傾向があります。多雌でコロニーを形成するため大規模なコロニーに発達します。建物の近くで営巣されると室内によく侵入されます。
シワアリ属の中では最も多く生息し日本全国に分布しています。クロヤマアリやトビイロケアリ同様、目にする機会が多い種です。草地や公園などの広けた場所の石下や土中に営巣します。家屋内での営巣は稀ですが食べ物があれば積極的に室内に侵入します。束石の下や上り框の下などに営巣し働き蟻が徘徊しているのをよく見受けます。
【ヒメアリ】 体色は頭部、胸部は黄褐色、腹部は黒褐色をしています。関東以南に多く生息しています。林縁から草地に多く見られ石下や芽竹の中によく営巣します。多雌コロニーを形成し繁殖力は旺盛です。建物内に営巣することはほぼありませんが室内の食べ物に誘引され侵入することがあります。
アリ類の大害虫として不動の地位を築いているイエヒメアリは日本全国に分布していますが局所的に生息しています。温暖な地域より帰化したため日本の冬を外で越せず建物の中に積極的に侵入します。建物に侵入するとコロニーが分散するため全ての巣を見付けることが困難なため難防除になります。肉、チーズ、砂糖、菓子などあらゆる物を食害します。多雌コロニーを形成するため繁殖力が旺盛で放置をすると物凄い勢いで増えていきます。働き蟻は非常に小さく2mm程度、全体的に薄黄色なので肉眼で確認しづらく気付くのが遅くなり被害が大きくなるケースが多発しています。
【アミメアリ】 日本全国に分布するアミメアリは褐色から淡褐色をしていて腹部は黒褐色です。名の由来の通り頭部に網目模様を有します。本種は女王蟻が存在せず働き蟻が産卵しコロニーを形成するため繁殖力においては他の追随を許しません。頻繁に移動しながら生活するため本種のアリ道がよく見られます。石下、倒木内、土中など様々な場所に営巣します。建物内への営巣はほとんどありませんが室内への侵入は多い種です。※近年、女王役が存在することがわかっています。
【ハリブトシリアゲアリ】 体色は一般的に黒褐色をしていて腹部先端が尖っているのが特徴です。コロニーはそれほど大きくなりません。樹皮下や倒木の腐朽部に営巣します。建物内への営巣はありませんが濡れ縁の束柱に営巣された記録があります。室内への侵入は稀で有翅虫の結婚飛行は7月下旬~9月です。
【キイロシリアゲアリ】 名の由来の通り全身黄色をしています。草原や林内の石下や土中に営巣します。多雌コロニーを形成しコロニーは比較的大きくなります。室内への徘徊侵入はほとんどありませんが9月の夕方に結婚飛行を行い、その際有翅虫が室内の明かりに誘引され侵入するケースが多々あります。
【オオハリアリ】 北海道を除く地域に生息し体色は黒褐色をしています。本種の最大の特徴は腹部に毒針があることです。毎年、数例刺症被害が出ます。多雌コロニーを形成し朽木に営巣することが多いです。本種はシロアリが大好物で建物を加害するシロアリを求めて建物内に侵入することがあります。肉食性が強く台所廻りの食べ物に誘引されることはあまりありません。
【クロニセハリアリ】 オオハリアリ同様腹部に針を持つため接触すると刺される危険性があります。分布は局所的で関東、中部地方の一部及び鹿児島県に分布しています。家屋侵入の事例は稀でベランダに鳩の巣などがあり巣の廻りに室外機の水抜きによる排水などが絡み湿気を帯びると巣の付近に営巣されることがあります。扉枠などを通じて室内に入り込むことが稀にあります。体長は2.5mmと小さく職型雄がいることが知られています。
【アギトアリ】 外来種で南西諸島などの温暖な地域に帰化していますが近年関西地方や関東地方でも散在的に発見されています。比較的大型種で10~13mm程度に成長します。ハリアリ亜科に分類され腹部には毒針を持ち触れたり掴むと刺されます。アギトアリの最大の特徴は顎で180度に開いた状態で顎の感覚毛に触れた獲物を瞬時に捕獲します。建物内に侵入されることはまずありませんが山地や森林公園などでの刺症被害には注意が必要です。
【ルリアリ】
アルゼンチンアリ属 【アルゼンチンアリ】 世界の侵略的外来種ワースト100にも指定される世界的大害虫で国内には90年代に広島県で確認されて以来、人為的な移動により範囲を拡大している特定外来生物です。体長は2.5mmで体色は黒褐色をして複眼はやや大きめです。歩行速度が在来の蟻に比べ尋常ではない速さで移動します。毒針などはありませんが物凄い数で獲物に襲い掛かります。在来の蟻を襲うことが知られているため侵入された地域の蟻が絶滅する危険性が有ります。女王は結婚飛行をせず巣内で雄蟻と交尾をして居座るか大量の働き蟻を率いて分散するため女王が単独で活動することが無く安全にコロニーを増殖します。国内でのアルゼンチンアリを生きたまま移動することは禁止されているため不用意に接触せず専門の業者に連絡することが望ましいと思います。
アリはハチやシロアリと同様に階級を分化してそれぞれの役割を担って社会生活を構築しています。 【生殖階級】 結婚飛行を終えた女王は翅を落とし営巣を始めます。交尾後、雄蟻は死んでしまいます。営巣した女王は働き蟻が孵化するまで子育てをします。働き蟻が増えると産卵に専念します。 【兵蟻階級】 コロニーの数%が存在し比較的コロニーが形成されてから産まれて来ます。外敵の侵入を防いだり種類によっては憶病で主に餌の解体や貯蔵の役割を担っています。 【職蟻階級】 コロニーの90%以上が職蟻で構成され巣の構築はもちろん幼虫の世話、兵蟻や生殖虫への餌やりなど様々な働きをします。
【営巣性】 アリは社会生活を送る昆虫でコロニーを維持するために営巣します。アリの種類によって営巣場所は様々で一般的には土中が多く多湿を好む種が主です。次に樹皮の裏や朽木に営巣する樹上性のアリが多くいます。竹筒の中や植物の茎の中にも営巣する種がいます。しかし時にはこのような種々のアリが床下土中や壁内、電気製品の中に営巣することもあります。巣内はいくつもの部屋に分かれていることが多く餌場やゴミ捨て場、育房、卵の部屋、幼虫、蛹とそれぞれ分かれていることもあります。巣を拡張することでコロニーを発達させます。 【多雌コロニー】 一般的には女王蟻が一匹で営巣しますが最初から女王蟻が複数協力し合って営巣する種がいます。多雌コロニーではコロニーの発達が早く外敵からの攻撃でのリスクも軽減できます。多雌コロニーで知られている種にはクロナガアリやキイロシリアゲアリ、ヒメアリ、アワテコヌカアリ、キイロケアリ、オオシワアリ、ヒゲナガアメイロアリなどがいます。 【単為生殖】 一般的に有性生殖する生物で雌が単独で子を作ることを言います。つまり受精することなく卵のみから個体が産まれることです。通常のアリ駆除では生殖虫を駆除することで滅びますがアミメアリのように働き蟻が卵を産む種などは数百から数千居る個体を確実に駆除する必要があります。 【寄生種】 一般的には女王蟻が単独または複数で産卵をし育児をしてコロニーを発達させますがアリの種類によっては別種のコロニーに女王蟻が単独で侵入し、そのコロニーの女王を殺して巣を乗っ取ります。近縁のハチの世界でもチャイロスズメバチがキイロスズメバチやモンスズメバチの巣を乗っ取ることで有名ですがアリの世界ではクサアリモドキがトビイロケアリ、トゲアリがクロオオアリやムネアカオオアリ、アメイロケアリはトビイロケアリ。クロクサアリはアメイロケアリに寄生しますが寄生されるアメイロケアリはトビイロケアリに寄生するため多重寄生と呼ばれます。 【食性】 アリは通常、雑食性なので昆虫の死骸や木の実、果実、樹液など様々なものを摂取します。一部には肉食傾向が強く生きた昆虫を補殺して摂取するようなオオハリアリなどもいます。特異なものではムカデだけ、ワラジムシやダンゴムシだけなど偏った食性を持つものもいますが家屋に侵入する種はそのほとんどが雑食性をしています。 アリ類は子孫を残そうと新たなコロニーを創設するため有翅虫(生殖虫)が巣から羽ばたき交尾をします。これを結婚飛行と呼びアリの種類によって飛ぶ季節は変わりますが女王蟻と雄蟻が同時期に飛びます。女王蟻と雄蟻は空中で交尾をし交尾が終わると女王蟻は地上で翅を落とし営巣します。雄蟻は交尾後死んでしまいます。
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